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【第一一回】澁澤龍彥の蔵書目録と研究の可能性(跡上史郎)

◆発表者  跡上史郎 ◆発表題目  澁澤龍彥の蔵書目録と研究の可能性 ◆発表要旨  澁澤龍彥を研究するための環境を飛躍的に向上させたのは、国書刊行会編集部『書物の宇宙誌 澁澤龍彥蔵書目録』(国書刊行会、2006)の刊行である。夏目漱石文庫(東北大学附属図書館蔵)や芥川龍之介文庫(日本近代文学館蔵)等と異なり、澁澤没後よりずっとその蔵書は個人蔵であり、一商業出版社である国書刊行会がその目録を作成・販売し、2006年の刊行から2022年の現在も新刊で購入可能であるという事態は特筆すべきものと言えよう。澁澤が引用の作家であるということは、澁澤の読者の共通理解であるが、澁澤没後も新刊書帯の惹句には、「マッコルランを出す勇気と機略のある編集者がいたら、私はそのひとに敬意を表するだろう。──澁澤龍彥」(ピエール・マッコルラン『黄色い笑い/悪意』中村佳子/永田千奈訳、国書刊行会、2021)等、数々の記載例があり、澁澤の著作の種本に使われたことが当該書の評価を高め、宣伝材料となる事態は現在も続いている。そして、2020年代には、2027年に澁澤没後40年、さらに2028年には生誕100年を迎えようとしている中、これまでの商業出版を主とする蓄積に対して、学術研究サイドからの真摯な応答が期待されていると言えよう。 ◆発表日時   2022年4月23日(土)、14:00~