【第二六回】「幻想文学としての「体験」:澁澤龍彥『玩物草紙』とその周辺」(跡上史郎)

◆発表者
 跡上史郎


◆発表題目
 幻想文学としての「体験」:『玩物草紙』とその周辺


◆発表要旨
 澁澤龍彥は先行するテクストのコラージュによって自らのテクストを織りなす書き手と目されている。一方『玩物草紙』(朝日新聞社、1979・2)は、それまでほとんど自分の「体験」を語ってこなかった澁澤龍彥が、幼年期を中心に「体験」を語り始めものである。振り返ってみるにデビュー作「撲滅の賦」(1955)も自らの恋愛「体験」をベースとしたものであり、「東京感傷生活ふたたび焼跡の思想を」(1964)のような単行本未収録作で「体験」を大いに語っているケースもあり、遺作『高丘親王航海記』にも幼児期の「体験」が組み込まれている。しかし、『玩物草紙』中の「体験」の一部は、幼い頃の「体験」である以上にそれにまつわる記憶の錯誤と言うべきものであり、これは「体験」そのものの意味の再考を促すものとも言える。澁澤龍彥にとって「体験」とは何か、その意味づけの変遷はどのようなものか、それは先行テクストのコラージュとどのように関わっているのか、なるべく多くの事例を参照し考察することを目指す。


◆発表日時

 2024年7月27日(土)、14:00~

※ご参加をご希望の方は、7月25日(木)までに、Googleフォームよりお申し込みください。確認次第ご連絡いたしますので、翌日の22時までに返信がなかった場合、大変お手数をおかけいたしますが再度ご連絡ください。