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【第四回】澁澤龍彥と「ニヒリズムの病理学」:『高丘親王航海記』論(後藤大介)

◆発表者  後藤大介 ◆発表題目  澁澤龍彥と「ニヒリズムの病理学」──『高丘親王航海記』論 ◆発表要旨  1970年の三島事件の後、澁澤龍彥は、その追悼文に「ニヒリズムの病理学の研究」を喫緊の課題としてあげていた。「絶対者」を求めて果てた三島との距離のなかで書かれたこの言明は、何らかの超越性を用意することなく、同時にニヒリズムに陥るのでもない在り方を模索する澁澤の問題意識の現れとして解することができるように思われる。本発表では、西尾幹二による三島評や後期澁澤における石川淳の影響などを踏まえながら、その帰趨を、晩年の『高丘親王航海記』の読解を通して跡づけていきたい。 ◆発表日時  2021年9月25日(土)、14:00~

【第三回】新旧学制の狭間で:澁澤龍彥とアカデミズム(倉方健作)

◆発表者  倉方健作 ◆発表題目  新旧学制の狭間で:澁澤龍彥とアカデミズム ◆発表要旨  本発表は澁澤龍彥(1928-1987)の経歴を当時の学制から照射し、彼が意識的・無意識的に所属していたグループの文化的・思想的な風土、またその内部における澁澤自身の立ち位置や独自の傾向をより明確にすることを試みる。発表にあたっては澁澤の「自作年譜」(『澁澤龍彥全集 第12巻』)、巌谷國士による年譜(『澁澤龍彥全集 別巻2』)、礒崎純一『龍彥親王航海記 澁澤龍彥伝』(白水社、2019年)を参照し、可能であればその補足と微修正を提案したい。 ◆発表日時  2021年7月17日(土)、14:00~

【第二回】澁澤龍彥と唐十郎:「犬狼都市(キュノポリス)」から「盲導犬」『唐版 犬狼都市』へ(杉浦楓太)

◆発表者  杉浦楓太 ◆発表題目  澁澤龍彥と唐十郎  ――「犬狼都市(キュノポリス)」から「盲導犬」『唐版 犬狼都市』へ ◆発表要旨  澁澤龍彥「犬狼都市(キュノポリス)」は『聲』七号〔一九六〇年四月〕に掲載された、澁澤初期の短編小説である(当時の標題は「キュノポリス(犬狼都市)」。なお本梗概では以下「犬狼都市」と略称を用いる)。  安西晋二が、これまでの研究では「典拠に対する下位的・二次的なものとして「犬狼都市」を位置付ける」場合が多かったと述べているように、同時代の比較作業では「犬狼都市」は、ほとんどマンディアルグ「ダイヤモンド」、同「仔羊の血」との関連(特に前者)において論じられてきた。そのため「犬狼都市」が新たな創作の下地となった点についての先行研究は、管見の限りない。  唐十郎に二つの戯曲がある。一つは「盲導犬」で、これは中央公論社から出ている雑誌『海』四月号〔一九七三年四月〕が初出である。澁澤が「『盲導犬』は、私の『犬狼都市』のいわば後日譚」と解説を寄せているように、「犬狼都市」に登場したファキイルの名や一部の設定が受け継がれている。もう一つは『唐版 犬狼都市』で、北宋社から一九七九年五月に刊行されている。扇田昭彦は『唐十郎全作品集』第三巻〔冬樹社、一九七九年八月〕の「解題」で「澁澤龍彥の『犬狼都市』への唐十郎の執着」が「盲導犬」のみならず『唐版 犬狼都市』を生んだと述べている。  先述したように、マンディアルグの「ダイヤモンド」「仔羊の血」から澁澤龍彥へ――という縦の関係性については、これまでの研究において、すでに分析がなされている。われわれが、澁澤龍彥から唐十郎へ――という縦の関係性にも着目してもよい時期にきたのではないか。  本発表では比較を通して「犬狼都市」が唐の二作品にどのように影響しているのかを分析したい。 ◆発表日時  2021年6月12日(土)、14:00~

【第一回】幽霊船の東西:澁澤龍彥「マドンナの真珠」とピエール・マッコルラン「薔薇の王」(劉佳寧)

◆発表者  劉佳寧 ◆発表題目  幽霊船の東西:澁澤龍彥「マドンナの真珠」とピエール・マッコルラン「薔薇の王」 ◆発表要旨 「マドンナの真珠」は「三田文学」(一九五九年七月)に掲載された澁澤龍彥の最初の航海小説である。この短編小説は、後に澁澤の最初の小説集『犬狼都市』(一九六二、桃源社)、『澁澤龍彥集成』の第五巻(一九七〇、桃源社)、澁澤が編集した幻想小説アンソロジー『暗黒のメルヘン』(一九七一、立風書房)、荒正人が解説を担当した異色推理小説九人集『ルパン殺人事件』(一九七二、双葉社)に再録されている。自作について、澁澤は「自分なりにいちばん気に入っているものの一つ」と語っていたが、澁澤がどのような典拠を用いたのかは読者にとって不明のままである。  評伝『龍彥親王航海記』によると、礒崎純一は矢川澄子から「たしか第一書房が出していた本で……」と聞いたものの記憶が曖昧で、どの本なのかは判明していない。実際のところ、澁澤が小説の典拠として使ったのは、第一書房から出た小説集『女騎士エルザ』の作者であるピエール・マッコルラン(一八八二~一九七〇)のもう一つの短編小説Roi Roseである。  今回の発表は、澁澤龍彥とピエール・マッコルランの関係を採り上げ、澁澤の若き日の文学的実験におけるフランス海洋冒険小説の影響を考察したい。 ◆発表日時  2021年5月29日(土)、14:00~

【初回】澁澤龍雄と三つのテクスト:澁澤龍彥「撲滅の賦」・武田泰淳『森と湖のまつり』・岩田宏『なりななむ』(跡上史郎)

◆発表者  跡上史郎 ◆発表題目  澁澤龍雄と三つのテクスト  ──澁澤龍彥「撲滅の賦」・武田泰淳『森と湖のまつり』・岩田宏『なりななむ』── ◆発表要旨  無名時代の澁澤龍彥(龍雄)が武田泰淳の小説のモデルとなっていることは、関係者の間では知られていた。澁澤龍彥「撲滅の賦」・武田泰淳『森と湖のまつり』・岩田宏『なりななむ』は、澁澤の1953年の体験を共通の素材としている。しかし、その内実は関係者によって封印されてきた。澁澤没後30年以上が経過した現在、その封印を解くべき時期は到来している。 ◆発表日時  2021年4月24日(土)、14:00~